「先生、それより一体何があったんですか?今日学校に行ったら、校門の前で今日は臨時休校だから帰れなんて言われるし。せっかく学校まで行ったのに…」
「なんだ、おまえ学校まで来たのか?連絡網を朝から廻したんだけどなぁ。おまえの家は4番目だぞ、そんなに時間が掛かる筈は無いんだが…」
「先生、甘い!主婦の長電話を知らないでしょう…。私が知ったのは学校についてすぐ親から連絡があったんだよ。だから前の3人で1時間以上は話しをしてるんじゃないの?」
「そっか、余りにも突然の予想外の電話だったからなぁ。いろいろ話しをしたくなる気もわからなくもないなぁ。」
「それで、本当の事はどうなんですか?なんか田中先生が生徒を妊娠させたとか話しがありますけど…」
愛子は聞いた噂の中で1番酷い話しをしてみた。
「え゛…」
担任は言葉が出なかった。
「先生?」
「………」
「先生??」
「……あ、ごめん。そんな話しになっているとはな、事実は明日にでも学校で話す。今は何も言えない事になってるから…。
でも、これでなんでこんなに大騒ぎになったのか分かった。今学校も凄い事になっていてなぁ…」
「凄い事って?」
「悪い、詳しくは話せないんだ。じゃあ、まだ在宅確認をしないといけないから。また電話するな。」
そういうと一方的に電話がきれた。
愛子はそのままになっていた携帯電話を手に取り香織との話しを再開した。
「あ、香織ごめんね。待たせちゃったね。」
「ううん。大丈夫。ねぇ愛子、なに、やっぱり担任?」
「そう、担任。在宅確認だって。」
「そっか、在宅確認かぁ。でも面倒だよね。」
「うん。全くね。校則に在宅確認でいなかったら欠席扱いにする。なんて書いてあるし…」
「全く、面倒だよね。それで何か担任言ってた?」
「ううん。とりあえず、知らないフリをして、何があったのか聞いてみたんだけど、教えてくれなかった。」
「そうなんだ。やっぱり、口止めとかされているのかも知れないね。」
「うん、多分そうだと思う。何でも学校凄い事になっているんだって、何が凄いのかはわからないけど…」
「へぇ、そうなんだ。まぁ何にしても、これだけ噂だの事実だのごちゃごちゃになってると、もうどうにも出来ないし、《草》を使って情報を集めても、多分まともな話しが手に入らないしね。」
「うん。とりあえず、落ち着くまでは、何も出来ないね。」
「ねぇ、愛子はこれから病院に行くんでしょ?」
「うん。ちょっと早いけどね、空いてるうちに行こうかなって思ってる。」
「そっか。私は何にもやること無いからなぁ…、本当に何しようかなぁ…」
「香織は勉強大丈夫なの?」
「あぁ、テスト勉強?まぁなんとかなると思うけど、そんな気分じゃないしね。」
「そっか…。それより、そろそろ担任から、そっちに電話があるかもよ?」
「そうだね。じゃあそろそろ電話、切るわ。」
「うん。またね。」
そう言うと電話が切れた。
愛子は予定よりかなり早いけど、病院に行く事にした。
香織の方は、仕方なく、復旧させた掲示板を見ていた。
サーバーが落ちていたせいか、なかなかアクセスは無かったが、段々、増えて来てかなり賑わってきていた。
チャットの内容は、それぞれの担任から来ている在宅確認の電話についての不満なども、田中先生の出来事に混ざりやり取りがされていたが、相変わらず事実とはかけ離れたとんでもない内容で盛り上がっていた。
そんな感じで掲示板やチャット画面を眺めて30分位した頃、やっと担任から電話が掛かってきた。
「おぉ、香織、ちゃんと家に居たんだな。」
「先生、当たり前じゃない。欠席になりたくないもん。みんな家にいるんじゃないの?」
「まぁ、今の所はな。でも、電話が終わった途端に遊びに出るのは目に見えているけどな。」
「多分そうだろうね。でも抜き打ちでまた電話したりするんでしょ?」
「バレバレだな。と言ってもそんな暇じゃないけどな。」
「それより、先生、本当のところ何があったんですか?」
香織も愛子同様に知らないフリをして聞いてみる事にした。
「あぁ、実はまだ話せないんだ。ただ、生徒を妊娠させたとか、襲ったとか、そんな事はないからな。何だか噂が広まっているんだろう?」
「うん。でも、あの先生なら有り得る話しだから…」
「まぁ確かに、生徒からみたら、好き勝手をやってる様に見える所もあるからな。」
「でしょ?」
「でも、今更だが、そんなに悪い先生じゃないんだぞ。」
「そんな事言ってもねぇ…痴漢をしたんじゃもす信用も出来ないし…」
「まぁ、そう言われると返す言葉がないんだが…。そうそう、何だか知らないけど、みゆき先生が話しをしたいらしいんだ。今、廻すからちょっと待っててくれるか?」
「あ、はい。」
そう香織が返事をすると、エリーゼの為にの保留音が流れてきた。