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選ばれし者達(50)


愛子と香織は、塩1つだけ入れたかごを押してレジを済ませた。

「ねぇ、こんな重いのどうやって持ち帰るの?」
香織は余りの重さに愛子に聞いた。

「♪ジャン!これがあるんだなぁ。」
愛子はスポーツバックの中からナップサックを出した。

愛子は手際良くナップサックに塩を入れると香織に手伝って貰い背負った。

「凄い、準備万全なんだ。」
香織は驚いて呟いた。

「私、賢い主婦になれるかな?」
愛子は香織に微笑んだ。

二人はスーパーを後にして家に着いたら、掲示板を見る約束をしてから、互いに家に帰る事にした。

愛子はやっとの思いで家につき、玄関を開けた途端に目の前にとてつもなく大きな段ボール箱があり驚いた。仕方なく、廻り込んで玄関に入った。
「ただいま!ちょっとこの段ボール箱なに?」

「あ、愛子お帰り。」

「あ、塩ありがとう。やっぱり重かった?」
母親の光子は愛子の苦労を気にも留めていないみたいだった。

「あのねぇ。腕を怪我してる、か弱い娘に、なんで5キロもある物を買って来いなんて言うかなぁ?」

「まぁ、いいじゃない。リハビリ、リハビリ。」
光子は笑いながら言った。

「それより、母さんこの荷物なに?」
愛子は玄関を塞いでいる邪魔な巨大な物体について聞いた。

「あ、これ?これ安かったのよ。トイレットペーパー1グロス3500円!掘り出し物でしょ?」
光子は自慢をしているかの様に胸をはり堂々と答えた。

「なに、またお母さんの必殺技の特売の大量買いなの?全くこれじゃ、まるで社会の教科書に出てるオイルショックみたいじゃない。」
愛子は呆れて答えた。

「オイルショックね。たしかに昔そんな事もあったわね。まぁいいじゃない。腐る物じゃないし、有って困るものじゃないし…」

「それより1グロスって12ダースでしょ?ねぇ144個もどこに置くの?」

「大丈夫よ、トイレの奥の棚に積み上げるから…」
光子はそういうと段ボールを開け、トイレットペーパーをトイレの棚に積み上げ始めた。

「ほら、全部入ったでしょ?」
愛子がトイレを覗くとトイレットペーパーが綺麗に棚に天井近くまで積み上げられた壮観な風景が出来上がっていた。

「ねぇ、もしトイレに入ってる時に地震が来て崩れて来たらどうするの?」
愛子は母親の光子に聞いた。

「大丈夫よ。トイレットペーパーくらいで死ぬ事はないから…」
光子はあっけらかんと答えた。

「あのね…。死なないのは分かるけど。私トイレットペーパーに埋もれて、もがくなんて事、ぜったいに嫌だからね。」
愛子は真剣な顔をして訴えた。

「大丈夫だって、もしトイレットペーパーに埋もれても家族しか知らないから…。」

「そういう問題じゃないでしょう?もし母さんがトイレットペーパーに埋もれたら写メしてブログに書いちゃうからね。」
愛子はトドメの一言を放った。

「ちょっと、写メなんか撮らないでよね。」
光子は笑いながら答えた。

「それより、今日、学校休みになるなら、早く連絡来れれば良かったのにね。全く電話が来たのなんか9時過ぎよ?だから、そんなこんな話しで20分も話しをしちゃたわよ。」

「お母さん。そんな事で盛り上がってるから、なかなか次の人に連絡が廻らないんじゃないの!」
愛子が鋭い指摘をした。

「ははは、確かにそうね。つい電話となるといろいろと話しが盛り上がっちゃってね…。」
光子は照れ笑いをしながら答えた。

「私、もう部屋に行くね。後で多分、学校から家にいるか確認の電話が来るから、電話はしばらく私が出るよ。」
愛子はそういうと部屋に行った。

愛子は早速パソコンを起動させ、掲示板にアクセスをした。いつもの画面が表示されると思いつつ今日に限って見たことの無いアルファベットのみで埋め尽くされた画面が出て驚いた。

「なんじゃこりゃ??」
思わず大声で独り言を言っているのに気付き、慌てて自分の口を押さえていた。

愛子は完全にウィルスにやられたと思ったが文字を読んでいくと、Attention、information、serverなどの単語からウィルスでは無さそうな雰囲気に落ち着きを取り戻し、机から英語の辞書を持ち出すと表示された英文を少しづつ訳しながら読んでいった。

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