選ばれし者達(45)
生徒指導室から出て来た二人の様子は対象的だった。
香織の方は何事も無かったかの様に跳ねる様に下駄箱の方に向かって歩いて行った。
その反面、みゅーみゅーの方は深刻な顔をしているのが自分でもわかっていた。
とりあえずは保健室に向かい、香織の話しを思い返してみた。落ち着かないといけないと思いつつ、信じられない話しに本当なのかと悩んでいた。
しばらく悩んだあと、とりあえずは、まさかとは思うが、香織の指摘の様に夕方の食事をキャンセルする為にメールを送る事にした。
香織の話しはかなり動揺する内容だった。自分でも気付かない間に何も手に着かなくなってしまっていたのに気付き、早めに家に帰る事にした。
脳裏に一瞬、香織が話していた職員会議の事も頭を過ぎったが、帰ってしまえば関係ないし、香織の話しが事実で有って欲しくないという気持ちも有った。
一方、校舎を出た香織の方は、これから起こるべき事を、早く愛子に話しをしたく、校門を出ると早速携帯電話の電源を入れ、愛子に電話をかけてみた。
数回の呼び出し音の後に、愛子は電話に出た。
「愛子、今、電話大丈夫?」
「うん今、病院の帰り。」
「愛子、今みゅーみゅーと話し終わったよ。それで愛子の事は話さなかった。」
「そうなんだ、それより、電話、別に夜でもよかったのに…。」
愛子は予定外の香織からの電話に少し驚いていた。
「うん、でもちょっとニュースが有ってね。」
香織は愛子がどんな反応をするか少し楽しみに思いつつ弾んだ様子で話していた。
「何?ニュースって」
「体育の田中先生知ってるでしょ?」
「あの、不良先生?」
「そうそう。実はね、元はダーリンからの情報なんだけど、これから大騒ぎになるよ。」
「何?どういう事?」
愛子はあまりの意外な話しに頭が回らなかった。
「ダーリンの先読みの情報なんだけど、夕方に痴漢をやるみたい。」
「え?痴漢?先読みって予知の事でしょ?」
「そう、私もちょっとは出来るんだけど、この話し確かみたい。」
「それって、大変じゃん。先生どうなるの?」
「まだはっきりは読めないんだけど、何故か、痴漢の事がバレて凄い大騒ぎになる事までは分かってる。それで明日、学校が休みになると思う。」
「そうなんだ。でも普通痴漢してもその場で怒られて、一時的に警察に行っても、そんな大騒ぎにはならないんじゃないの?」
愛子は、たかが痴漢くらいでそんなに大騒ぎになるのか、わからなかった。
「確かに、普通は認めてしまえば、それっきりで名前とか、隠されるから、実際は学校とかからはごまかされて処分とかすると思うんだけど、何故か大騒ぎになるみたい、その辺の事情はまだ読めないんだよね。」
「あ、そうなんだ。」
「うん、多分、その時が来たらどういう事かわかると思う。」
「そうだね。」
「うん、それでね、その話しをみゅーみゅーにして、私の事を信頼して貰う事にした。」
「あ、そうなんだ。確かに、みゅーみゅーは田中先生からなんか嫌がらせされていたよね。」
「うん。だから、実際に起これば信じてもらえると思って…。」
「うん、確かにそうだね。」
愛子は意外な展開になっていた事に驚いていた。
「でも愛子、この事はまだ内緒だよ。知ってるのは、私達とみゅーみゅーだけだから。」
「うん。大丈夫。明日はいつも通り学校に行く。これでいいんでしょ?」
「そうだね。何も学校から連絡が来るまではそういう風にしないとね。」
「そうだよね。とりあえずはこれからどうなるか?そういう事だよね。」
「そう。じゃあまた電話するね。まだ学校の前で見つかるとうるさいから…」
「うん。わかった。」
そういうと電話を切った。
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