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2009年3月

選ばれし者達(45)


生徒指導室から出て来た二人の様子は対象的だった。

香織の方は何事も無かったかの様に跳ねる様に下駄箱の方に向かって歩いて行った。
その反面、みゅーみゅーの方は深刻な顔をしているのが自分でもわかっていた。
とりあえずは保健室に向かい、香織の話しを思い返してみた。落ち着かないといけないと思いつつ、信じられない話しに本当なのかと悩んでいた。

しばらく悩んだあと、とりあえずは、まさかとは思うが、香織の指摘の様に夕方の食事をキャンセルする為にメールを送る事にした。

香織の話しはかなり動揺する内容だった。自分でも気付かない間に何も手に着かなくなってしまっていたのに気付き、早めに家に帰る事にした。
脳裏に一瞬、香織が話していた職員会議の事も頭を過ぎったが、帰ってしまえば関係ないし、香織の話しが事実で有って欲しくないという気持ちも有った。

一方、校舎を出た香織の方は、これから起こるべき事を、早く愛子に話しをしたく、校門を出ると早速携帯電話の電源を入れ、愛子に電話をかけてみた。

数回の呼び出し音の後に、愛子は電話に出た。

「愛子、今、電話大丈夫?」

「うん今、病院の帰り。」

「愛子、今みゅーみゅーと話し終わったよ。それで愛子の事は話さなかった。」

「そうなんだ、それより、電話、別に夜でもよかったのに…。」
愛子は予定外の香織からの電話に少し驚いていた。

「うん、でもちょっとニュースが有ってね。」
香織は愛子がどんな反応をするか少し楽しみに思いつつ弾んだ様子で話していた。

「何?ニュースって」

「体育の田中先生知ってるでしょ?」

「あの、不良先生?」

「そうそう。実はね、元はダーリンからの情報なんだけど、これから大騒ぎになるよ。」

「何?どういう事?」
愛子はあまりの意外な話しに頭が回らなかった。

「ダーリンの先読みの情報なんだけど、夕方に痴漢をやるみたい。」

「え?痴漢?先読みって予知の事でしょ?」

「そう、私もちょっとは出来るんだけど、この話し確かみたい。」

「それって、大変じゃん。先生どうなるの?」

「まだはっきりは読めないんだけど、何故か、痴漢の事がバレて凄い大騒ぎになる事までは分かってる。それで明日、学校が休みになると思う。」

「そうなんだ。でも普通痴漢してもその場で怒られて、一時的に警察に行っても、そんな大騒ぎにはならないんじゃないの?」
愛子は、たかが痴漢くらいでそんなに大騒ぎになるのか、わからなかった。

「確かに、普通は認めてしまえば、それっきりで名前とか、隠されるから、実際は学校とかからはごまかされて処分とかすると思うんだけど、何故か大騒ぎになるみたい、その辺の事情はまだ読めないんだよね。」

「あ、そうなんだ。」

「うん、多分、その時が来たらどういう事かわかると思う。」

「そうだね。」

「うん、それでね、その話しをみゅーみゅーにして、私の事を信頼して貰う事にした。」

「あ、そうなんだ。確かに、みゅーみゅーは田中先生からなんか嫌がらせされていたよね。」

「うん。だから、実際に起これば信じてもらえると思って…。」

「うん、確かにそうだね。」
愛子は意外な展開になっていた事に驚いていた。

「でも愛子、この事はまだ内緒だよ。知ってるのは、私達とみゅーみゅーだけだから。」

「うん。大丈夫。明日はいつも通り学校に行く。これでいいんでしょ?」

「そうだね。何も学校から連絡が来るまではそういう風にしないとね。」

「そうだよね。とりあえずはこれからどうなるか?そういう事だよね。」

「そう。じゃあまた電話するね。まだ学校の前で見つかるとうるさいから…」

「うん。わかった。」
そういうと電話を切った。

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選ばれし者達(44)


香織はおもむろに話しはじめた。
「先生、先生が高校生時代の時の親友で、私の様な人がいましたよね?」

「え?」
みゅーみゅーは意外な切り出しで動揺を隠せなかった。

「私、先生のその親友と同じだと思うんです。」
香織は続けた。
「先生の親友が先生に話した事はまだ覚えていますか?」

「ちょっと、香織さん。あなたがなんでその親友の事とか、話した事とか知っているの?」
みゅーみゅーは完全に混乱していた。

「私、超能力があるんです。」
香織はきっぱりと言い放った。

「超能力って、親友にはそんな力無かったわよ。」

「確かにそうですね。私はその親友さんより、はるかに力がありますから…。だから、私は先生の過去の事もいろいろと知る事もできますし、今の事もわかるんです。」

「とりあえずはわかったわ。それで、何を話しをしたいの?」

「それは、私この学校を変えたいんです。いじめとか、派閥とか、そういうごたごたを無くしたいんです。」

「うん、確かにその気持ちはわかるけど…。」

「それで、先生に協力して欲しいんです。」

「そんな、協力って言われても…。」

「先生、先生にも力がありますよね?」

「えっ!あなた…。」
みゅーみゅーは誰にも知られた事の無い力の事を指摘され驚いた。

「それで、まず先生の力を借りたいのと、私の力の事を秘密にして欲しいのと、後は、私が学校でやろうとしている事について邪魔をしないんで欲しいんです。」

「そう言われても…、一体何をしようとしているの?」

「先生には迷惑をかけません。それに交換条件として、先生が今、抱えている問題を解決してあげます。」

「ちょっと待って、抱えている問題って…。」

「先生、体育の田中先生に付きまとわれているでしょ?」

「そ、それは…。」
香織の指摘は図星だった。

香織はしばらく、下を向き目を閉じて、トイレで確認したメールの内容が事実なのか、力を使い意識を飛ばしてみた。

しばらくの静寂の後、事実だと確認するとひと呼吸してから話しを始めた。
「実は、田中先生、近々学校をやめる事になります。」

「ちょっと、どういう事?」
みゅーみゅーは突拍子も無い香織の話しに驚いた。

「正確には、私が何かをするんじゃなくて自滅するんですけど、あと2時間もしたら先生にもわかると思いますが、臨時職員会議がこれから開かれます。そうそう、先生、今日は帰りが遅くなるから友達との食事の約束、キャンセルした方がいいですよ。」

「ちょっと、何が起きるのか説明してよ。」

「いいですよ。話をしますから、私の話しを信じて協力してくれますか?」

「わかったわ。約束するから…、話して。」
みゅーみゅーはしばらく考えてから返事をした。

「田中先生、今日、午後年休で休みですよね?実はもうじき、先生が若い女性に痴漢をして逮捕されます。多分、今から2時間後位に学校に連絡が入って臨時職員会議を開いて、対応策の話し合いをすることになると思います。
多分、明日はとりあえずは休校にする事にはなると思いますが、明日も先生達が全員が集められて、職員会議で生徒への説明とか対応など話し合うと思います。」

「ちょっと、それ本当なの?」

「本当です。今日の職員会議は夜10時近くまで掛かりますから、せっかくの友達との食事の約束残念ですね。」

「香織さん。あなたは…これから先の事や私が友達と今日食事をすることまで分かっているのね。」
みゅーみゅーはこれから、起こるであろう出来事について聞かされ、驚くより関心する気持ちの方が強かった。

「信じてもらえて、うれしいです。それでまずは、先生に1つお願いしたい事があります。」
香織は早速、仲間に入れるべくお願いをすることにした。

「何かしら?」

「先生なら簡単な事です。先生なら立場上いろいろな生徒と会う機会があると思います。それで生徒や先生の中で、私の様に何か違うと感じる人がいたら、教えて欲しいんです。当然私も直接会えばわかりますが、私の交流範囲からしたら、とても学校全部はカバー出来ません。だから、先生にお願いしたいんです。」

「つまりは、何かがあると感じた人がいたら、あなたに教えればいいのね。」

「はい、そうです。教えて貰った人には私がこっそり近づいて、とんな力があるのか、私自身が調べます。だからとりあえずは、怪しい人を見つけて欲しいと言う事です。」

「わかったわ。約束するわ。」
みゅーみゅーは承諾をすることにした。

「ありがとうございます。ではよろしくお願いします。いつの日か必ず、お礼をしますから…」
香織は頭を下げお願いをした。

「話しは終わりかしら?」

「はい。」
そう会話をすると、二人は生徒指導室を後にした。

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