選ばれし者達(41)
「香織、そろそろ学校が近くなって来たから、別々に行った方がいいんじゃない?」
「うん、そうだね。」
「バッグ渡して。自分で持つよ。」
そう言うと愛子は香織からバッグを受け取り言った。
「香織、先に教室行っててよ。私、みゅーみゅーに会ったり、担任に挨拶したりしないといけないから…。そうそう、みゅーみゅーには、さっきの話し黙っておくね。」
「うん。わかった。学校に行って休み時間にでも呼び出しかけるから、その時までに課題の人を見付けておいてね。」
「うん、大丈夫。」
返事を聞くと、香織は走って学校に向かった。
愛子は香織と距離を取るようにしばらくゆっくり歩いてから学校に入った。
久しぶりの学校に何か新鮮な気分になったが、いろいろとやらなくてはならない事もあり、余韻に浸っている時間は無かった。
まずは、みゅーみゅーに会うために保健室に向かったが留守で仕方なく職員室に向かい歩いていた。いなかったら困るなぁと考えながら歩いている途中に偶然みゅーみゅーに会う事が出来た。
「みゆき御姉様、おはようございます。」
愛子は丁寧にお辞儀をし挨拶をした。
「あ、愛子さん。やっと来れる様になったのね。」
みゅーみゅーはいきなりの事で少し驚いた様だったが、愛子が学校に来た事が嬉しい様子だった。
「ねぇ、保健室に寄っていってよ。」
「あ、はい。」
愛子はそう答えると後に続いて歩き、保健室の中に入った。
「まぁ、適当に座ってよ。」
愛子はみゅーみゅーにそう言われても、座ると言っても座る場所もたいして無かったので、仕方なく怪我をした時などに使う丸椅子を先生の机の傍に移動させ座った。
「でも、来れて良かったわ。そうそう、お菓子食べる?」
そう言うと机の引き出しを開け、クッキーの箱を取り出した。
「みんなには内緒ね。」
「はい。」
そういうと二人揃って微笑んだ。
クッキーを食べながら少し話しをすると、突然に香織が入って来た。
「あ、香織さん。どうしたの?」
「あ、愛子来たんだ。取り込み中みたいね。佐藤先生、相談したい事があるんで時間か欲しいんですけど、時間空いてますか?」
香織は愛子が学校に来た事を知らなかったふりをして、先生に話しかけた。
「今、たいした用事じゃないけど、放課後ならいつでもいいわよ?ここか、職員室にいると思うから声をかけてね。」
「はい。わかりました。」
香織はそう言うと保健室を出て行った。
会話が終わると、愛子自身も何だか居づらくなり、職員室に担任に挨拶したいと告げると保健室を後にした。
職員室に入ると担任の方から声を掛けていた。
「おぉ。やっと来たかぁ。大分休んだからなぁ。元気かぁ?」
「はい。いろいろとお世話になりました。」
愛子は丁寧に挨拶をして、親から預かってきた菓子折りを渡した。
「なんか悪いなぁ…。みんなでご馳走になるよ。」
そう言いいながら受け取りながら続けた。
「もし勉強が解らなかったら、個人的に教えてやるからな。心配しないでいいからな。」
と言った。
「え、個人授業ですか?いやらしい…」
「何言ってるんだ。」
「だって、最近そういう先生多いじゃない?生徒に手を出しちゃう先生とか。」
「あのなぁ?俺がそんな事する様な先生に見えるか?」
「うん。見える。」
愛子の答えに担任はうろたえていた。
その姿を見て愛子はすかさず
「なんてね。冗談、冗談。先生可愛い。」
と付け加えた。
「全く、相変わらず、人をおちょくるのが好きなんだから…」
「まぁ、本当に分からなかったら、その時はよろしくお願いします。」
愛子は再び丁寧にお辞儀をした。
「全く、何を考えているのかわからん。」
担任は呆れていた。
「じゃあ先生、先に教室に行ってます。」
愛子はそう先生に告げると職員室を後にした。
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