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2009年1月

選ばれし者達(41)


「香織、そろそろ学校が近くなって来たから、別々に行った方がいいんじゃない?」

「うん、そうだね。」

「バッグ渡して。自分で持つよ。」
そう言うと愛子は香織からバッグを受け取り言った。
「香織、先に教室行っててよ。私、みゅーみゅーに会ったり、担任に挨拶したりしないといけないから…。そうそう、みゅーみゅーには、さっきの話し黙っておくね。」

「うん。わかった。学校に行って休み時間にでも呼び出しかけるから、その時までに課題の人を見付けておいてね。」

「うん、大丈夫。」
返事を聞くと、香織は走って学校に向かった。

愛子は香織と距離を取るようにしばらくゆっくり歩いてから学校に入った。

久しぶりの学校に何か新鮮な気分になったが、いろいろとやらなくてはならない事もあり、余韻に浸っている時間は無かった。

まずは、みゅーみゅーに会うために保健室に向かったが留守で仕方なく職員室に向かい歩いていた。いなかったら困るなぁと考えながら歩いている途中に偶然みゅーみゅーに会う事が出来た。

「みゆき御姉様、おはようございます。」
愛子は丁寧にお辞儀をし挨拶をした。

「あ、愛子さん。やっと来れる様になったのね。」
みゅーみゅーはいきなりの事で少し驚いた様だったが、愛子が学校に来た事が嬉しい様子だった。
「ねぇ、保健室に寄っていってよ。」

「あ、はい。」
愛子はそう答えると後に続いて歩き、保健室の中に入った。

「まぁ、適当に座ってよ。」
愛子はみゅーみゅーにそう言われても、座ると言っても座る場所もたいして無かったので、仕方なく怪我をした時などに使う丸椅子を先生の机の傍に移動させ座った。

「でも、来れて良かったわ。そうそう、お菓子食べる?」
そう言うと机の引き出しを開け、クッキーの箱を取り出した。
「みんなには内緒ね。」

「はい。」
そういうと二人揃って微笑んだ。

クッキーを食べながら少し話しをすると、突然に香織が入って来た。

「あ、香織さん。どうしたの?」

「あ、愛子来たんだ。取り込み中みたいね。佐藤先生、相談したい事があるんで時間か欲しいんですけど、時間空いてますか?」
香織は愛子が学校に来た事を知らなかったふりをして、先生に話しかけた。

「今、たいした用事じゃないけど、放課後ならいつでもいいわよ?ここか、職員室にいると思うから声をかけてね。」

「はい。わかりました。」
香織はそう言うと保健室を出て行った。

会話が終わると、愛子自身も何だか居づらくなり、職員室に担任に挨拶したいと告げると保健室を後にした。

職員室に入ると担任の方から声を掛けていた。

「おぉ。やっと来たかぁ。大分休んだからなぁ。元気かぁ?」

「はい。いろいろとお世話になりました。」
愛子は丁寧に挨拶をして、親から預かってきた菓子折りを渡した。

「なんか悪いなぁ…。みんなでご馳走になるよ。」
そう言いいながら受け取りながら続けた。
「もし勉強が解らなかったら、個人的に教えてやるからな。心配しないでいいからな。」
と言った。

「え、個人授業ですか?いやらしい…」

「何言ってるんだ。」

「だって、最近そういう先生多いじゃない?生徒に手を出しちゃう先生とか。」

「あのなぁ?俺がそんな事する様な先生に見えるか?」

「うん。見える。」
愛子の答えに担任はうろたえていた。

その姿を見て愛子はすかさず
「なんてね。冗談、冗談。先生可愛い。」
と付け加えた。

「全く、相変わらず、人をおちょくるのが好きなんだから…」

「まぁ、本当に分からなかったら、その時はよろしくお願いします。」
愛子は再び丁寧にお辞儀をした。

「全く、何を考えているのかわからん。」
担任は呆れていた。

「じゃあ先生、先に教室に行ってます。」
愛子はそう先生に告げると職員室を後にした。

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選ばれし者達(40)


「ねぇ、香織。そういえば大事な話しがあるって昨日言ってたけど何?」
愛子は突然に思い出し歩きながら香織に聞いた。

「うん。それなんだけど、みゅーみゅーの事なんだ。ねぇ愛子、どうしたらいいと思う?」

「どうって、どういう事?」
愛子はいきなり聞かれも答えようがなかった。

「つまりね。これから先、私達の力の事を隠して置くのは難しいでしょ?学校の中でも力を使う事もあるし、その辺の事を考えるとどうしたらいいかな?って思って…」

「そういう事なんだ…」
愛子は香織の相談の意味をなんとなく理解した。

「これから、愛子はもっと力を身につける事になるし、まだ詳しくは話せないけど、実は学校の中でもいろいろと力を使う必要が出てくるんだ。」
香織は続けて話した。

「そうなんだ…。」

「それで、あれから調べたんだけど、実はみゅーみゅー、もしかしたら、《民》の事を知ってる可能性が出て来たんだぁ。」

「え?そうなの?昨日の朝のメールだと、可能性は無いって言っていたじゃない?」

「そうなんだけど、高校時代に接触したみたいでね。具体的には当時の親友の中に《草》になるために訓練中の人がいてみゅーみゅーの力に気付いて、誘いを掛けたらしいんだ。《民》と言う名前は出していないらしいんだけど、そういう力を持つ集団とか《民》の種類がいるとかは知ってしまったみたいなんだよね。」

「何それ?それって《民》として、公開してはいけない事でしょ?まずいじゃない。」

「そうなんだけど、その親友の見極めが甘かったみたいで、完全に《民》の資格がある者と思い込んだみたいで、話しをしちゃったらしいんだよね。」

「そう…。ねぇそういう場合どうなるの?」

「実際の所《民》の名前とか出していないから、ギリギリセーフなんだけど《民》と言う名前は知らない物のそういう集団がある事については知ってるから、微妙な所なんだよね。」

「あ、でも一様セーフなんだ…。」

「そうなんだけど、この際だから話しをしようかな?って思って…」

「だって、話してはいけない事になってるじゃない。大丈夫なの?」

「確かにそうなんだけど《民》の存在を知る者には話しても構わない。決まりがあるでしょ?」

「まぁ、たしかに《民》として訓練を始める前には伝える必要があるから、話しても構わない事にはなってはいるけど…」

「そこなんだよね。決まりの上では、ギリギリ話して構わない事にはなってるから…」

「でも、みゅーみゅーは《民》になる人じゃないから、話してはいけないんじゃないの?」

「そうなんだけど、実は《探りし者達》の中では《草》の下について情報を得る為に《民》には満たない能力を持っていて手足となり動く人には、話しても良い事になっているんだ。つまりは、情報の収拾役として動く人限定なら《草》に満たない能力者でもOKって事。」

「それって、つまりは話す代わりに情報を得る為に動いて貰えば良いって事なの?」

「まぁそういう事になるかな?」

「まぁ、香織が問題無いと言うんなら、私は構わないけど、そもそもそんな大事な事、私達だけで決めちゃってもいいの?」

「うん。それは大丈夫。だって今覚醒して動いている《民》は私達だけだから、その辺はある程度は自由にやっても大丈夫。まぁいざとなったら、それなりにいろいろ方法あるし…」

「それなりって?」

「だから、それなり…。まぁ愛子は知らなくてもいいよ。私がうまくやるから…」

「それならいいけど…。」
愛子は少し不安になったが香織を信じる事にした。

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選ばれし者達(39)


翌朝の朝早く、まだ愛子が寝ぼけている頃、香織から家に着く大体の時間を知らせるメールが届いた。

愛子はそのメールの着信音で完全に目が覚めた。

手際良く身支度を整え、前髪のカールに悪戦苦闘して最中に香織が迎えに来た。

愛子は少しまだ前髪に不満が有ったが、待たせる事も出来なく仕方なく出かける事にした。

「おっは。」
相変わらず元気な様子で香織は挨拶をした。

「もうぉ、前髪がイマイチでさぁ…。」
愛子の方はなかなか決まらない前髪の事で頭がいっぱいだった。

「大丈夫。可愛いから。」

「そう?まぁいいっか。」
愛子はそう言うとあっさり納得する事にした。

「荷物持ってあげるよ。まだ大変でしょ?」

「そう?でもまだ何にも入ってないよ。」
そういうと中身の割には大きいバックを香織に渡した。

「なんで、こんなにバックが大きいの?」
香織はふと疑問に思って口に出した。

「まぁね。すぐに理由がわかるよ。悪いんだけど、ちょっと駅に寄ってくれる?」

「別に、構わないけど…」

愛子は学校に行く時の儀式ともなっている、教科書一式が収められたコインロッカーに行き、鍵を開けた。
そして、香織からバックを受け取ると、教科書などバックにいれ始めた。

香織はこの光景を見て、まさかこんな事をしているとは全く知らずに驚いていた。

すべての用意が出来た時、香織に話し掛けた。
「香織、わかった?こういう事。」

「これってどういう事?」
香織の方は何故こんな事をしているのか、まだ理解出来ないでいた。

「だから…」
ここまで話すと愛子はため息をついた。
「こうすると、いたずらされないでしょ?」

「あ、そういう事なんだ。」
やっと香織は理解した様だった。
「毎日、こうしてるの?」

「うん。そうだよ。だから学校のロッカーの中には何も入っていない。」

「そうなんだ。」

「じゃあ、ヨロシク。」
愛子はこう言うとバッグを香織に渡した。

「あ、私ね。はい、はい。」
香織はバッグを受け取り歩き出した。

「でも、流石に愛子頭いいね。こうやると絶対に大丈夫だしね。それに鍵のあれもそうだし。」

「でも鍵のあの方法は私が力が有ったから出来るんであって、無かったらどうにも出来ない事だし。」

「確かにそうだけど。見えないマーキングなんて、まさか誰も想像しないし…」

「でも、まさか香織が見抜いていたなんて、驚いたけどね。」
「香織が敵じゃ無くてよかった。」

「敵も何も愛子の仲間になる以外に私には道が無いじゃない。」

「え?どうして?」

「だって力の事は話せないし、愛子の鍵の謎なんかクラスの人になんか言ったら私が仲間ハズレにされちゃうし、愛子はいずれは力の覚醒をするんだから、私が力がある事がバレちゃうし。それに《民》は《民》同士で一緒にいないとこの先困る事になるし…」

「確かにそう言えばそうだね。」
「でも、まさかずっと私の事を見ていたなんて驚いたけど…」

「まぁ、これも役目だからね。でも愛子がここまで成長して良かった。」

「私って、どうなの?優等生なのかなぁ?」

「うーん。どうだろう…。少なくても手が掛かる面倒な生徒ではないから、楽は楽だったかな?」
「手取り足取り教えるのって難しい事だし、感覚って言うか、コツみたいなのを覚える事でしょ?」
「なかなか、教えるには難しいんだよね。」

「確かにそうだね。言葉じゃうまく説明出来ないし、大変なのは確かだよね。」

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