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2008年10月

選ばれし者達(35)


電話を切った後、香織の方はかなり動揺していた。まさか、こんな身近に《民》ではないとは言え、愛子との関係に気付き始めている人がいたとは、夢にも思っていなかった。

香織は、パソコンを操作して、「みゅーみゅー」の顔写真を探し出した。残念ながら、香織とのツーショットだった為に、クロップをしてなんとか、切り分けた。

慌てて、香織自身がとりまとめをしている《探りし者達》のリストの中から、写真から過去の割り出しが出来る人を探し出しパソコンを操作して、切り分けた写真を添付して過去の能力の開発の経緯など、調べて貰う様にメールを出した。
さらに電話をかけ、補足説明をして、大至急調べて貰う様にお願いをした。

香織はそれが終わると、《探りし者達》の掲示板から、みゅーみゅーに関係する情報を探し出そうとしたが、見つける事が出来なかった。

「とりあえずは、ここまでか…」
独り言をつぶやくと、裏掲示板にアクセスをし、日課になっているクラス内の情報収拾を始めた。

その頃、愛子は、携帯電話で裏掲示板を見ていた。相変わらず、実態の無い書き込みが溢れていて「相変わらずだなぁ」とつぶやいていた。…

翌日、愛子は朝から携帯に次々と届く香織からのメールの着信音で目が覚めた。

「もう、香織は何通メール、送ってくるのよぉ…」

寝ぼけ眼で携帯を見ると、香織が作った掲示板のメールシステムからだった。一様、夜中には送信しない様に気を使ったみたいで、その分一気に一晩に溜まったメールが来ていた。

内容は報告形式で細かく書かれていた。

何通にも小刻みに報告されているメールを総合すると「みゅーみゅー」は、元々は《民》とは無縁に近い家系らしい。仮に《民》との接触があるにしても、まれに生まれる強い力を持った人を覚醒者を探し出す民によって導く程度で、《民》との接触が有ったとは考えられないとの事だった。

ここまで愛子が10通以上メールを読んだにも関わらず、携帯でメールを読んでいる間も次々とメールの着信が入っていた。
「ちょっと、香織。何通メールあるのよぉ。」

次のメールを見て愛子は思わず吹き出した。
【愛子、ごめん。メールの嵐でしょ?今度、ケーキバイキングご馳走するから、許してね】
「おいおい。わかってるなら、メール減らせよ。」
思わず、愛子は一人ツッコミを入れていた。

その間にもどんどんメールが届いていたので、仕方なく届いた未読メールの処理をすることにした。

みゅーみゅーは中学時代に何かあると気付き、高校生になる頃はほぼ今の能力になったとの事だった。

愛子はよく一晩でここまで調べられるなぁと関心していた頃また香織からのメールがあった。
【本当にごめんね。携帯パンクしてない?今度、駅前のハンバーガー屋さんのスベシャルハンバーガーをご馳走するね。たがら、怒らないでね】

愛子は怒るつもりはなかったけど、スベシャルハンバーガーなんてあんな大きいハンバーガー、一人で食べられるかなぁ?なんて思いなから、未読メールとの格闘を続けた。

みゅーみゅーは高校時代にこの力の事が原因で失恋したらしかった。他にも高校時代のエピソードがいくつか届いていた。

また香織からのメールが有った。
【愛子、携帯電池切れになったらごめんね。今度、学校前の喫茶店の「びっくりパフェ」をご馳走するね。】

「え?びっくりバフェかぁ…。まぁ許してやるか…。」
愛子はつぶやいていた。

びっくりパフェとは、学校前にお店がある事から女子高生を狙って破格値で売り出している、様々なフルーツが乗った大きなパフェで、生徒の中では人気のあるメニューだった。


未読メールも後少しになり、愛子はメールを読む事にした。

みゅーみゅーは大学ではかなり優秀な成績だったらしいが、看護実習で病院にいる時に幽霊に襲われた経験があるらしかった。それで病院勤務をやめ、養護の先生になる事を決めたとの事だった。

愛子はやっと未読メールを全部読みほっとした頃に香織からメールが届いた。

【愛子、ごめんね。多分朝メールがたくさん届いていて、大変な事になっているでしょ?もしかしたら、寝ていたのを起こしちゃったかも知れないね。おわぴに今度、私が驕るから、焼肉食べ放題を食べに行こうね。】

愛子はメールを読み終えた事もあり、香織に電話をすることにした。

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選ばれし者達(34)

「実は…。実はね。」
「あのあなたが倒れた事件の事なんだけど、私どう考えても、納得できないのよ。だってあなた、貧血じゃないでしょ?」

「そんな事言われたって倒れたのは確かに私なんだし、理由を聞かれても私困ります。」
愛子はみゆき先生の指摘についてこう答えるしか無かった。

「確かそうなんだけど、何か変なのよ。あの香織さんの態度とか、最近、あなたと香織さんだけなんか違うのよ。」

「違うって何がちがうんですか?」

「あのね。存在感が消えるって言うのかな?なんか、幽霊が出て消えたみたいな感じ。」

「私って幽霊なんですか?」
愛子は意外な指摘に驚いていた。

「うまく言えないんだけど、あなたと香織さん。何か特別な何かがあるんじゃないかと思って。」

「何かってなんですか?」

「そうねぇ、超能力者とか?」

「え?私が超能力者?そんな馬鹿な事あるわけないじゃない。先生、そんな事で電話してきたんじゃないんでしょ?」
愛子は《民》の事に気付かれない様に話題を早く変えたかった。

「そうなんだけど…この話は今度にするね。それで本題なんだけど、今回の事故の事で、親御さんに説明したいと思っているのよ。保険の事もあるしね。その辺の説明もしないといけないし…。それで、都合の良い日を知りたいんだけど、わかる?」

「大体、家にはおかあさんがいるけど、土日なら確実にいると思うよ。」

「そう。それなら都合の良い日を電話でもメールでもいいから教えてくれる?」

「いいよ。聞いてみる。」

「それじゃあよろしくね。」
こう言うとみゆき先生は電話を切った。

愛子は電話の内容を母に伝え、都合の良い日を電話で伝える様にお願いをした。

愛子は香織に携帯電話から再び電話をかけた。

「あ、香織。電話、みゅーみゅーからだった。」

「そうなんだ。」

「保険の事で家に来るみたいなんだけど、それより私たちの関係についてなんか不審に感じているみたい。」

「え?そうなの?ちょっと待ってね。」
香織はパソコンを操作している様だった。

「愛子。みゅーみゅー、ちょっと注意しないと駄目かもしれない。」

「それって、どういう意味?」
愛子は気になって聞いた。

「みゅーみゅーね、《民》ではないけど、そこそこの霊力があるみたいなのよ。簡単に言えば、霊能者ね。例えば念を飛ばして、何か読み取ろうとすると、多分バレるよ。まぁ、私たちはそういう事はしないから直接は関係ないけど、いきなりオーラを飛ばすのは、わかっちゃう可能性があるかもしれない。」

「それって、《民》って事がバレるって事?」

「そこまでは平気だけど、何か力を持っているって事はわかっちゃうかもしれない。」

「それ、ヤバイじゃん。」

「うん。でも、《民》と言う存在については知らないと思うから、その辺は大丈夫かな。多分、バレたにしても、霊力があるとか、霊感があるって思う位だと思う。」

「それなら、大丈夫かなぁ?」

「でも、油断は出来ないよ。全くの素人じゃなくて、一様は力については、感じる事が出来るから、注意しないと…」

「わかった。」

「なんにしても、詳しく調べてみるね。私も大体の事しかわからない段階だし、知りたいから。」

「わかった。」

「保険の事で家に来るのなら、余計に気をつけないとね。」

「そうだね。でも、まさか力がある人がこんなそばにいるなんて、驚いた。」

「うん。まぁ無くは無い話何だけど。何にしても明日位には詳しい事を調べてメールするからね。」

「うんわかった、じゃあね。」
愛子はそう言うと電話を切った。

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