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2007年12月

選ばれし者達(14)

光子は、昨日のバソコンのごたごたで、継承者の話が出来なかったので、今日こそは話をしようと朝から思っていた。
しかし、結局朝は何かと慌ただしく話す事が出来ず、帰ってきたら今度こそと心に決めた。

昨日までのごたごたの間、光子自身、一人で力の回復に向けてなんとか、完璧ではないが2段階目まではなんとか、マスターをした。
だが、未知のその先の3段階目には苦労していた。『やっぱり私はこの辺が限界なのかなぁ』こんな事を考えていた。
すぐに愛子が帰ってきた。
「ただいま…」
何故かあまり今日は元気が無かった。

「珍しく元気ないじゃん」
光子が話掛けた。

「たまには、そんな時だってあるのよ。」
愛子は、言った。

「愛子、ここ最近ごたごたしてたけど、継承者の件考えてるの?」
光子はやっと切り出した。

「分かってるよ。もう届いているんでしょ?光が使っていたやつ。」

「これがそう。」
光子は愛子に訓練用の教材を見せた。

「これが、指南書?」
愛子が指南書を手に取り表紙を開けた。
「へぇ面白い。字が浮いてでてくるだ…なんか魔法の魔術書みたい」
こうつぶやき関心していた。

難なく表紙を開けた愛子の様子を見た光子はとても驚いて言った。
「愛子。あなたこれ開いたの?」

「え?なんで、開くって開かない物なの?」
愛子はこの指南書自体を開く事さえ、ある程度の力が無いと開かない事を知らなかった。

光子が呆気に取られていると。
【まず、この本の波動を感じてみよ。出来たら、自ら発せよ。さすれば次を示す。】
愛子は、あっさりと指南書の内容を読み
「こんなの簡単じゃん!」
と言いあっと言う間に
【次の文字を読め、何時の波動を変えて見よ。さすれば、次の指示を示す。後は波動を合わす事にて次を示す。心得よ。】次の指示のステップまでの指示を読んでしまった。

あまりにも、簡単に1段階目の始めの難関をクリアしてしまった姿を見て、光子は開いた口が閉じなかった。
「愛子、あなた…」
光子はつぶやいていた。
「何?母さん。」
愛子は、自分が今自分がやった事の凄さに全く気付いていなかった。

「愛子、あなた波動のコントロール出来るの?」光子が尋ねた。

「あぁ、それなら出来るよ。光がやったって聞いて自分でもやってみたら出来ちゃったよ」

「出来ちゃったって言ったって…」
光子は唖然として続けた。
「だって、これが出来るって事は波動を読んで、自分で同じ波長に合わせられるって事よ。そんな事も出来るの?」

「そんな事も何も、波長を変えてマーキングみたいな事も出来るよ。」

光子は聞いてさらに驚いた。その内容は完璧に1段階をクリアしたという内容だった。そしてあまりにもあっけなくこなしてしまった愛子に唯唯驚くしか無かった。

「母さんもこの位は出来るんでしょ?」
愛子は光子に尋ねた。

「もちろんよ。」
あっさり答えたが、昨日なんとか苦労して再び出来る様になったばかりだった。
「それより、いつそこまで出来る様になったの?」
光子は不思議でならなかった。

「もうだいぶ前だよ。それより、これ私のなんでしょ?部屋に持って行ったいい?」

「それはそうだけど…」光子はあまりにも早い展開に戸惑っていた。

「あ、そうか…お母さんも出来ないと格好悪いよね。」
愛子は笑いながら言った。

「もう持って行っていいから、一人で出来る様に頑張りなさい。」
光子はこう言うのが精一杯だったが、心の中では愛子がもしかして本当に継承者になるのかもしれないと感じていた。

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選ばれし者達(13)

翌日、朝から教室内ではあちこちにグループが出来『例の書き込みをしたのは、愛子じゃないか?』という事でまとまりつつ有った。
しかし、親づたいに流れた『愛子の家にパソコンは1台しか無く、しかも感染していなかった』という情報で、犯人が愛子と言う説はすぐに消えた。

学級委員が自発的に感染した人の人数と宿題の提出が出来た人数を調べた。
感染して動作不能になったのは31人。しかし、パソコンが複数台、家にあり宿題が出来なかったのは26人と言う事がわかった。

同じ頃、職員室では担任と情報の教科の先生で、宿題の提出者が15人程しかいない事で、何が起きているのか?成績をどうするか?で話し合いをしていた。

しばらくして、ウィルスに感染したらしいと言う情報が入り、急きょ臨時に簡単に職員会議になった。そこでパソコンが動作不能になった人数を全校で調べる事になった。
この人数によっては、今回の成績の評価について検討しないといけないのではないか?と言う話も上がっていた。

いつもより早めにホームルームの時間が始まりパソコンが動作不能になった人数が調べられた。
しかし、パソコンが動作不能になったのは愛子のクラスが31人とずば抜けて多かったが、他のクラスでは数人程度で殆どのクラスは0と言う状況に教師達は、成績については特別な処置をしない事を決めた。

1時間目は愛子のクラスは情報の授業であり、宿題の件について、先生が生徒達に決まった事を話していた。

「知っての通り今回はウィルスに感染して宿題が出来なかったのは知っている。しかしこのクラスのみの出来事なので、特別な配慮はしない事になった。よって出来なかった者には、赤点を付ける事にする。」
先生は授業の冒頭にこう言い、さらに続けた。
「ウィルスの感染経路は知らないが、このクラスの生徒だけがずば抜けて多かった。つまり裏の掲示板か何かでの繋がりから感染が広まったんだろう。
どうせ、「先生がうざい」だの「宿題が面倒臭い」などと散々悪口や嫌味を書いて楽しんでいるんだろうが、そういう事をしているから、こういう事になるんだと思え!
とは言え、まさか26人に赤点を付ける訳にもいかないから、何か考える事にする。但し、簡単な事だと思うなよ。お前達が悪いんだからな。」
先生はこういうと授業を始めた。

休み時間や昼休みなど、どんな救済策がでるのかの話題で、もちきりだった。

今日の授業が全て終わり香織が帰る為に下駄箱を開けると、中に赤いマグネットが付いていた。

香織はマグネットを外して鞄の金属部分に付けた。

この赤いマグネットは、愛子からのいつもの漫画喫茶で待つと言う、待ち合わせの話が出来なかった時の最後の連絡手段だった。

香織は愛子が待ついつもの漫画喫茶に入った。

愛子は香織に言った
「ねぇ、本当にこれで良かったのかなぁ?」

香織は
「いいんだよ。みんなが愛子を理由なく苛めているんだから」

「でも…」
愛子は不安な顔をしていた

「大丈夫だって…」
香織はたいして気にしていない様子だった。

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選ばれし者達(12)

「ねぇねぇそれより、親達が大騒ぎしちゃってさぁ…」
香織は続けた。
「もう、あちこちから電話が掛かってくるし、こっちからも電話を掛けまくってるし、家の電話だけじゃ無くて携帯電話も持ち出して、大変な事になっているよ。
でもさぁ、今更大騒ぎしてもどうにもならないよね。」

確かにそうだった。
消えてしまったファイルはどうにもならないし、後はリカバリーしてパソコンを初期化する位しか救済策は多分ない。

「まぁ、今日の所はそろそろ落ち着くと思うよ。問題は明日かな?宿題の事もあるしね。多分宿題が出来るのは、私達とパソコンが家に無くて学校でやった人と、あのサイトにアクセスをしなかった慎重な人くらいだから、10人くらいじゃないかな?でもまさか宿題をやった人が10人じゃ先生も困っちゃうよね。」
愛子はそうだなと思った。

「それより、あのきっかけになった香織が書いたあのサイトの紹介の書き込み、香織ってバレないの?」
愛子は心配になって香織に聞いてみた。

「大丈夫だよ。あれね、昨日の夜中にアクセスして消したんだ。だって一通りあそこにみんなアクセスしたみたいだから残して置く必要ないし、みんなで盛り上がっているうちなら、消しても誰が書いたかとか、いつ消したとかバレないし、そもそも書き込みはしたのが、漫画喫茶からじゃ探すにも分からないしね。」
香織の考えは的を得ていた。

「なんにしても、愛子はあの裏掲示板の存在は知らない事になっているから、宿題が出来ても不思議じゃないし、私も弟が使っていてアクセス出来なかったって書き込みをしたから、あのサイトにアクセスしていないのはみんな知っているから、宿題が出来て当たり前だし、私達二人は宿題が出来て当たり前の人達なんだから、ウィルス騒ぎについては、全く関係ないと思われているから疑われる事はないよ。」

確かにそうだった。
私は裏掲示板を知らないんだから、今回のウィルス騒ぎには全く関係ない。香織は弟が使っていて、運良くアクセス出来なかったから感染しなかった。それだけの事。
まさか、ウィルスの感染に関係しているとは誰も考えない。

完璧に事が動いている事に自分でも怖くなった。

丁度電話の内容が一段落した頃に部屋をノックして父親が部屋を覗いて愛子に尋ねた。

「バソコン、ウィルス騒ぎが有ったみたいだけど、大丈夫だったのか?」
「全然問題ないよ。それより今電話中だから、あっちに行ってよ!」
こう愛子が父親に言うと父親はすぐに引っ込んだ。

「じゃあ明日ね」
愛子は香織に言って電話を切った。

愛子は再びネットにアクセスをするとあちこちのサイトで、クマのアニメに注意という注意喚起の情報が出ているのを見た。

この情報は裏掲示板にも書かれて、掲示板ではきっかけの書き込みをした犯人捜しが始まっていた。

真っ先に愛子の名前が上がったが、じゃあ誰がこの掲示板の存在を教えたのかという事については分からず答えが出なかった。

そもそも、あのきっかけの書き込みは実際に見ないと書けない内容が含まれていたので、書き込みをした本人も感染している筈だという間違った認識を持ってしまった為に、愛子が犯人説は愛子が宿題が出来たかどうかで明日わかるだろうと言う事で落ち着いた。

もし、出来ていたら?と言う仮説も上がったが、そんな事は有り得ないと言う流れに押し切られ誰も追及しなくなっていた。

愛子は明日宿題を無事に提出した事をみんなが知ったらどうなるのだろうかと、思い一人ウキウキしていた。

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選ばれし者達(11)

愛子が家に着くと母の光子は掛かってくる電話でパニックになっていた。
「愛子、何がおきているの?」
光子は事情が飲み込めていない様子で、頻繁に入る「お宅のパソコンは大丈夫?」との内容の電話の受け答えに四苦八苦していた。
光子自身は機械に弱くパソコンについては全く理解不能だった。しかし掛かって来た電話の内容から愛子に向かい、いきなり
「愛子、早く手洗いとうがいをしなさい!今コンピュータウィルスが流行ってるみたいだから、あなたにも感染したら大変でしょ!!」
光子は愛子に叱る様に言った。しかし聞いた愛子は目を丸くして、きょとんとしていた。
10秒位してから愛子は、突然にお腹を抱え転げ回って笑いだした。

光子は、突然の愛子の変化にウィルスに感染しておかしくなったと思い真剣な顔をして
「愛子!愛子!大丈夫!!」
と呼び掛けた。

その様子に愛子はさらに増して笑い転げた。
「お願い…もう駄目…、これ以上…笑わせないで…お腹苦しいぃ…」
と笑い転げながら言った。

笑い過ぎてヘロヘロになった愛子は、コンピュータウィルスについて母に丁寧に説明をした。
「なんだ、人には感染しないのね。私はてっきり愛子に感染して、それでおかしくなって笑い転げて笑っていたかと…」
光子はやっと理解した様だった。

「それにしても何が起きたの?」
光子は愛子に聞いた。

「知らないわよ。」
愛子は全て事情を知っていたが、面倒なので知らない事にした。

「それでうちのパソコンは大丈夫なの?」
光子は愛子に尋ねた。

「多分大丈夫だと思うよ。」
愛子が答えた。

「私、宿題があるから部屋に行くね。」
こういうと愛子は部屋に行った。

光子は今日こそは継承者の件で力の訓練について話をするつもりだったが、この騒動ですっかり忘れてしまっていた。

部屋に入ると愛子はパソコンを立ち上げ、裏掲示板にアクセスをした。愛子のパソコンは当たり前だが問題無く動いていたが、掲示板には悲鳴に似た書き込みが並んでいた。

書き込みは携帯電話からが殆どで、パソコンが動かなくなりどうにもならない人が殆どだった。中には、親の大切なファイルが消えてしまい、親から散々怒られパソコン使用禁止になってしまった人もいた。

愛子は、宿題をテキパキと済ませ先生のメールアドレスにメールをした。
一段落してから香織の携帯電話に電話を掛けたが話中で繋がらず仕方なくメールで【落ち着いたら話をしたい】と書いて送った。

夕食も終わっても家にはまだパソコンの事で電話が頻繁に掛かってきていた。しかしうちのパソコンが無事だとわかると、『壊れないで良かったわねぇ。』などの羨ましいと言う話に変わっていた。

お風呂から出て、髪を乾かしていた時に香織から電話が掛かってきた。

「凄い事になってるね。」
愛子は香織に言った。

「でもこれで苛めてた人に仕返しが出来たじゃん。明日が楽しみだね。みんな赤点だよきっと…」
香織は言った。

「ねぇ、感染して大騒ぎしているのってうちのクラスだけなの?」
愛子は尋ねた。

「そうみたいよ。だってあんな外国のサイトなんか誰もアクセスしないから多分掲示板に来ている人だけだよ。」
香織は答えた。

愛子は確かにあんな一般的では無いサイトにアクセスするのは、情報を知って興味本位でアクセスした人位だと思った。

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選ばれし者達(10)

体育の次の授業は情報の授業だった。
パソコンを普段から使っている愛子にとっては息抜きに近い授業だった。
しかし、授業が終わる頃先生はワープロソフトを使いクリスマスパーティの案内のポスターを作ると言う内容の宿題を出した。

先生は家にパソコンが無い人を確認し、その人には学校のパソコンを使う為のパスワードを書いた紙を渡した。それ以外の者は家のパソコンで作ってくる事になった。
提出は明日の朝8時45分の始業開始までにメールか印刷をして先生の元に持ってくる事になった。

「いいかぁ。今回の宿題は今までのまとめだから成績に響くぞ!提出しなかった者には赤点をつけるからな!」
先生は大きな声を出し言った。

一人の生徒が先生に質問をした。
「先生!最近、家のパソコンの調子が悪いんですけど…」

先生はこれを聞くと
「他にパソコンの調子が悪い奴はいるか?いるのなら今の内だぞ!いないな?締め切った後は、ウィルスに感染してみんな消えたとか、パソコンが壊れたとか、コーヒーを飲ませたとか、そういう理由で出来なかったなんて事は一切受け付けないぞ!いいなぁ!!」
他に名乗り出た生徒は無く先生は質問をした生徒を呼びパスワードの紙を渡した。

愛子はこの先生の話を聞き、密かに微笑んだ。

今日の授業が全て終わり、愛子は先に香織と待ち合わせをしていたいつもの漫画喫茶にいたが、すぐに香織も走って入って来た。

香織は会うなり第一声
「やったじゃん!まさかこんな展開になるとはね。今晩はみんなパニックだよきっと…。ねぇそろそろ時間じゃない?」
香織はそういうと、パソコンで裏掲示板にアクセスをした。

掲示板には、相変わらず愛子の悪口に並んで、今日出された情報の宿題について【かったるい】【面倒臭い】など書き込みが有った。まだ何事も起きていない様だった。

香織はチャット画面にアクセスをした。すでに数人チャットをやっていて香織も割り込みチャットに参加した。
丁度宿題の事についてチャットをしていた時に突然相手からの返事の書き込みが無くなった。画面には【おーい!起きろ!笑】などの冗談混ざりの会話の書き込みが並んでいだが、一人減り二人減り、とうとう相手が誰もいなくなった。

それと同時に香織の携帯電話が鳴った。

「香織!チャットごめん!パソコンが急におかしくなって動かなくなって…」
相手は何が起きているのか分からずパニックになっていた。

「何が起きたの?」
香織は意外にも冷静に会話をするものの、右手で愛子に向かってピースサインをした。
「何?ふざけた冗談やめてよ。」
香織は事実を知りながらあえて冗談を言っているかの様に会話を続けた。
「パソコンが壊れちゃったよぉ〜。」
電話の相手はこう言い、半べそ状態になっていた。

香織はやっと真面目に
「ちょっと大丈夫?」
と心配するかの様に話をし始めた。

次々と香織の携帯には今チャットをしていたであろう相手からと思う留守電が入った事を示すメールの着信が入り始めた。
香織は落ち着いて「ごめんね。留守電が入ったみたい」と言い電話を切った。
香織の携帯の留守電センターに残された内容は、今会話した内容と同じ様な物ばかりだった。

香織は愛子に向かい「とうとう始まったね」と言い両手でピースをした。

香織の携帯には、その後もメールや着信などが殺到し、流石に店内には居ずらくなり漫画喫茶を出る事にした。

香織は愛子に携帯で電話をしながら『ごめん』と言うジェスチャーをしてからバイバイのジェスチャーをした。
愛子は両腕でガッツポーズをして見せ、そして別れた。
愛子はいつもより早く家に向かった。

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選ばれし者達(9)

鍵の謎は他人にはわかる筈が無かった。

愛子は光とのメールのやり取りの中で、光が継承者になる為に学んでいる事について聞いていた。
その中の1つが、自分のオーラの波長を変動させる事とその波長の読取りだった。

人には固有のオーラの波長を持っていて、普通は変えられないし読取りも出来ない。

しかし光は、その波長の変え方や波長の読取り方を訓練したとの事だった。

愛子自身、光からのメールを読んで身近な物で自分なりに訓練をしてみたら波長の読取りは案外あっさりと出来てしまった。
その応用で母の物や友達の物など誰かが長期間使っていた物はその波長から誰の物か特定出来る様になっていた。
また自分の波長を変えて物にその波長を植え付ける事も多少苦労はしたが出来る様になった。

実はこれが鍵の謎であった。

愛子は南京錠と開ける鍵とを同じ波長でマーキングをした。適当に選び出した南京錠の波長を読取り、同じ波長の鍵を選びだせば、その鍵は必ず開く。

見えないマーキングと言う理由は簡単だが他人には絶対に分からない方法が答えだった。

光は品物を持った瞬間に波長の読取りが出来ると言っていたが、愛子は数秒掛かってしまう事が悔しかったが、この鍵の謎がわかるのは民の人か、同じ様に訓練した人くらいだと思っていた。

当然クラスの中に力を持った人はいる筈は無かったし、あの数秒で何をしているかは分かる筈も無かった。

体育の授業が終わり教室に戻ると、椅子の上に画鋲が3つ置いてあり、背もたれにも1つ張り付けてあった。
さらに机の右奥には【ばか!】と書いてあった。

実は椅子に置いてある画鋲3つと机の右奥に書いた【ばか!】の落書きは香織からのメッセージがある時のサインだった。
多分、背もたれの画鋲は誰かが便乗したのだろう。

「椅子の画鋲と【ばか】の文字。それぞれは有り得るイタズラだから、2つ組み合わせてサインにするね。」
香織はこう言い、二人で決めた事だった。

愛子は、予め決めて有った、メッセージがあるトイレの用具入れに行った。奥にトイレットペーパーの芯が置いて有り、芯の中にいつもの様に小さい紙が入っていた。素早く紙を取り出すとトイレの個室に入り読んだ。
【今日もいつもの所で待ってます。(^^)v】
それは香織からの待ち合わせの連絡だった。

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選ばれし者達(8)

翌日、愛子はいつもの様に起き、いつもの様に朝ご飯を食べ、学校に行く為に家を出た。
光子は昨日届いた荷物について全く触れない愛子の様子が不思議でならなかった。

愛子は家を出ると、駅前にある月貸しのコインロッカーに向かった。慣れた手つきで自分のロッカーを開けると中には教科書などが入っていた。
愛子は苛めの経験から様々な対策をしていた。
『隠される前に自分で隠すか、隠される様な物を置かない』
愛子は学校のロッカーには何も入れていない。大抵の物はこのロッカーに入れていた。手早く時間割りを見ながら教科書を揃えて自分の鞄に入れた。また今日は体育があるので体操着も取りだし別のバックに入れた。
実はこの体操着を入れたバックは一見普通に見えるが、海外で良くある鞄を切り裂き財布をスルという犯罪対策為に作られた刃物では切れない生地で出来ていた、また直接旅行に使える様に施錠出来る様にもなっている特別な物だった。

学校についた愛子は真っ先に焼却場に向かった。愛子はそこで自分の私物が捨てられていない事を確認すると、続いて粗大ゴミ置き場に向かった。案の定、自分の机が捨ててあった。

自分の机を持ち、荷物を背負い下駄箱に向かった。

下駄箱についた愛子は自分の鞄から上履きを取りだし、自分の履いて来た靴をビニールに入れ鞄に入れた。
まだ生徒は誰も来ていない時間だった。靴を下駄箱に残さないのは、学校に来ているのと、靴を隠されるのを防ぐ事が目的だった。

愛子は教室に着くと机を置き、荷物を持ち屋上に向かった。そして授業が始まるまで時間をつぶした。そして始業時間に遅刻ギリギリに学校についたかの様に慌てて教室に駆け込んだ。

今日の3時間目は体育だった。
着替えの体操着が入ったバックを出しながら、愛子はいつも持ち歩いている鞄からやや大きめのボシェットを取りだした。
中には幾つもの南京錠やダイヤル錠、チェーン錠が入っていた。
その中から適当に南京錠とチェーン錠を1つづつ取り出した。南京錠を軽く握り目を数秒閉じ、それから自分の持っている鍵の束から鍵を選び出すかの様に1枚ずつ確認する様にして鍵を1つ選び出した。その鍵を履いている靴下の中に入れた。そして南京錠とチェーン錠、体操着の入ったバックを持って更衣室に向かった。

更衣室に着き、着替えを済ませた愛子は、一番端の棚に体操着のバックを置き、棚の奥に配管ミスなのかムキだしになって上下に棚を貫いている水道管にチェーン錠を巻き付けバックに鍵を掛けた。
そして靴下に隠した鍵を取りだすとバックに鍵を掛け、左足の靴下を脱ぎ手にした鍵の穴に髪止めのゴムを通し足首に通してから靴下を履き直した。

これで苛め対策は完璧だった。
バック自体を隠そうにも水道管とチェーン錠で繋いである。バックは施錠してあり、バックは刃物では切れない素材で出来ている。苛めをしているグループにはどうにも手出しが出来なかった。

それより、苛めをしている人達は、どうやって愛子が正しい鍵を選び出しているのかがどうしても謎だった。

いつも鍵が入っているボシェットの中には南京錠だけでも鍵がざっと10個以上入っており、全て同じ南京錠で見た目に違いは全く無かった。南京錠を選ぶ時は適当に選んでいる様だし、当然開ける鍵も全てそっくりで、あれだけの鍵の束からいつも開く鍵を確かめもせずに選び出している事が不思議でならなかった。

もしも愛子が1つしか鍵を持っていなかったら、隠してしまえば鍵を掛ける事は出来ないし、開ける鍵も簡単にわかるからそれを取り上げてしまえばいい。

しかし複雑の鍵からいつも無造作に選んでいる事と鍵を複数持っている事が、鍵に手を出せない最大の要因になっていたし、難関でも有った。

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選ばれし者達(7)

光子は、愛子が家に帰ってくるまでの間に少しでも力を回復させようと必死になり訓練をしていた。

いつもならそろそろ愛子が帰ってくる時間に、なんとか指南書の1段階の途中まで出来る様になった。実はもう少しやりたかったが夕食の支度を始める時間になり諦める事にした。

しかし、いつもの時間になっても愛子が帰って来ないので、少し心配になりながらも夕食を作り上げ帰りを待っていた時だった。

「ただいま!」
いつもと変わらぬ様子で愛子が帰ってきた。

光子は愛子が今日あたり、力の訓練の荷物が届く事を知って筈だったので、その話が出るかと思い構えていた。しかし、全くその話題には触れずに忘れているかの如く、いつもの様に学校での些細な事や電車の中にいた変わった人の話などをしながら食事を済ませると、いつもの様に部屋に行ってしまった。

光子は今日一日必死になり、力の訓練に励んだのに触れられる事が無かったので拍子抜けした感じだった。

部屋に戻った愛子は、パソコンを立ち上げ裏掲示板を覗いていた。

掲示板は、今日の午後に香織と共に仕組んだウィルスが潜んでいるアニメの話で賑わっていた。
まだ誰もウィルスが潜んでいるとは知らずに次々と【面白い】とか【可愛いい】といった書き込みが並んでいった。
その書き込みに紛れて香織の書き込みも有った。
香織は今日は弟の順番の日で、バソコンからアクセス出来ないから見れなくて残念と言う内容の書き込みを携帯電話からしていた。
香織は自分のパソコンではアクセスしないで済む口実をうまく作り上げて、感染から逃れる事に成功したのだった。

書き込みを一通り見た後、愛子は自分のパソコンも感染しては困ると思いソフトの更新をした。

その後に他の気になるホームページを見てから、寝る前に香織に携帯から電話を掛けてみた。

「あれうまくいったみたいね。」
愛子は、うかれた様子で言った。

「うん。明日には消えるからあさっての朝が楽しみだね。」
香織も嬉しそうだった。

「香織の書き込み見たよ。うまくごまかしたじゃん。」

「うん。私だけ掲示板に書き込みをしていないと変に思われると困るしね。そういえば、掲示板の書き込みを整理してみたんだけど大体30人位は感染したと思うよ。」

「そんなになったんだ。」愛子は驚いた様子で言った。

「もう遅いから、そろそろ寝るね」
香織はこう言い電話を切った。

愛子は久しぶりに楽しい夢が見れそうな気分になりそのまま眠りについた。

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選ばれし者達(6)

光子が家で力の復活に励んでいた頃、愛子は漫画喫茶で親友の香織と待ち合わせをしていた。

愛子と香織が親友だと言う事は学校では誰も知られていない事実で二人だけの秘密だった。

待ち合わせの漫画喫茶は漫画喫茶といっても漫画は大して置いて無く、あるのはHな漫画ばかりで女子高生が来る様な店では無かった。その為愛子には絶好の隠れ家になっていた。

香織が来るまで時間を持て余していた愛子は、自分の悪口が書かれた裏掲示板を見ていた。

家では明るく振る舞っていたが、実は学校ではかなり陰湿ないじめにあっていた。

しばらくして香織が漫画喫茶に来た。

「あいかわらす、ヒドい事書いてるね。ねぇ今日は大丈夫だった?いつもより今日はいじめが凄かったから…」
香織が話し掛けてきた。

「うん。大丈夫。」
答えながら、愛子は何処を見るとなく、マウスをクリックして何気なくネットサーフィンをしていた。

突然香織が「ちょっと待って!」と言った。
画面には
【クマのアニメに注意!ウィルス対策ソフトでは感知せずに感染しファイルが消去される事例が多発】
こんな見出しの記事が表示されていた。
【フラッシュプレーヤーの脆弱性を突くトロイの木馬につき至急バージョンアップをして対策を】
香織がマウスを操作して詳細画面を出した。

「ねぇこれで仕返し出来るかもよ?」
香織が言いながら画面を下にスライドさせた。

【現時点では、日本語版は未対策。英語版のみ対策済みの為、英語版の最新版をインストールするのが望ましい。なお英語版でも日本語版Windowsにインストールしても支障なし。日本語版の最新版が出るまでの繋ぎとして利用可能】

「ねぇ、これって知らない人がみたら感染するって事でしょう?みんなまさか対策をした英語版なんか入れている人なんかいないから、みんな引っ掛かるよね?」
香織が言った。

確かにそうだった。
まさかこの情報を知ってあえて対策をした英語版なんか入れる様な事をしている人はクラスの中にはまずいない。ましてこれはバソコンに詳しく無いと知らない最新の情報だった。

「ありがとう。いいかもしれない。」
愛子は嬉しくなり言った。

香織は早速、通りすがりの人を装って裏掲示板に【可愛いアニメがあるよ。】と注意喚起の記事に書かれたアニメの内容をほぼ丸写しして書き、掲示板に書き込みをした。

数分後【可愛い!!みんな超可愛いいよ?見てごらん!】と掲示板に書き込みがあった。そして次々と同様の書き込みが並んでいった。

香織は愛子の方を向いて満面の微笑みを浮かべピースサインをした。

香織はパソコンを続いて操作し、このウィルス情報を表示させ愛子に言った。
「感染して24時間後にパソコン内のファイルがみんな消えるんだって。明日の夕方にはみんな大騒ぎだよ!」
香織は笑いながら言った。

愛子は久しぶりに心が軽くなった気がした。

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選ばれし者達(5)

光子は、届いた物をまじまじと見つめ昔の記憶を呼び起こしていた。
そして指南書を手に取り何気なく開けようとした。『え?開かない!』目の前で起きた現実を受けるのに少し時間が掛かった。『なんで?』子供の時には難なく開ける事が出来ていた。しかし今は開かない。半分パニックになっていた時に継子からの白い封筒が目に入った。中には手紙が入っていた。

【光子へ
母から言われた物の一式を送ります。まずは光子が先に有る程度出来ないと愛子ちゃんに馬鹿にされるわよ。頑張ってね。
PS まさか指南書が開かないなんて言わないでよね。そこまでドシじゃないと思うけど…】

手紙の内容は図星だった。

光子は完全に困り果てていた。指南書はそれぞれのステップをこなす事によって次にすべき事が示される様に出来ていた。
つまり運良く開いたにしても、運で出来たくらいの修得なら次に何をすべきかは分からない。完全に行き詰まっていた。

時間はそろそろ昼になろうとしていた。
主婦である光子は取りあえず家事をこなす事にした。
買い物から帰りポストを見ると母のミツから手紙が届いていた。

ひとまず、昼食を簡単に済ませ、届いた母からの手紙を読むことにした。

【光子へ
そろそろ荷物が届いた頃かと思います。電話の様子ではかなりの期間力を使っていなかったみたいなので、一様封印解除が出来るまでの訓練手順を書いた物を送ります。まさか指南書が開かないなんて言って泣きべそをかいているなんていう事は無いとは思うけど、昔からあなたはドジばかりしていたから気になります。
まずあなたには必要の無い物だとは思うけど、これは愛子ちゃんにも必要な事。まずは愛子ちゃんに渡しなさい。

来月にはそっちに行くからそれまでは、二人で頑張って励みなさい。】

光子は、愛子に渡す前にすがる思いで、封印解除までの訓練手順をよみ必要な物を集め早速書かれている事を始める事にした。

いざ始めると、そういえば子供の時にゲームとして同じ事をしたのを思い出した。
改めて、あれが大切な訓練になっていた事に気付き驚いた。
書かれている事をやっているうちに段々感覚を思い出してきて2時間程で書かれていた事が出来る様になった。
そこで改めて指南書に挑戦してみる事にした。
今後はあっけなく開ける事が出来、ほっと胸をなで下ろしたのだった。

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選ばれし者達(4)

翌日愛子が学校に行っている間に荷物が届いた。
光子は早速梱包を解いた。段ボールの中は子供の時に見た懐かしい物が入っていた。

光子は継子に電話を掛る事にした。
「もしもし、姉さん?」
「あぁ光子?ごめんね、今回の事…。光、本人はかなりショックだったみたいだけど、昨日愛子ちゃんからメールを貰ってだいぶ元気になったみたいよ。」

「そう。あ、今日荷物届いたわ。取りあえずこっちで頑張ってみるわね。」

「本当にごめんね。それより光子、力の方大丈夫なの?私が継ぐ事になっていたからあなた全然でしょ?」

「うん。そうなんだけど、やっぱり鈍っているみたいね。」

「そう。取りあえずはあの荷物は3段階まで訓練が出来る物だからあなたが前に身に着けた2段階までは戻せる筈よ。それより愛子ちゃんには最低でもあれを完璧にマスターしてもらわないといけないわ。でもね、それから先は民の協力が必要なの。実は母さんが行くって言っていたけど、それでも心配なのよね。」

「そうなの?でもそれからの事は取りあえずはこっちでなんとか考えるわ。」

「本当にごめんね。うちの光は3段階まで身に着けたんだけど、その先、覚醒するかが微妙なのよ。それで民の人が悩んじゃってさぁ…だから、愛子ちゃんも早くあれで3段階まで身に付けてその先に覚醒出来る事に期待するしか無いのよ。
二人しかいないから、光か愛子ちゃんかのどちらかしかいないからね…」

「わかったわ。頑張ってみるわね。じゃあまた電話するわ。」

光子は電話を切ってから事の重大性を改めて認識したと同時に先の事について不安を覚えたのだった。

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選ばれし者達(3)

光子は食事中に継承者の話をするつもりだったがなかなか言い出せずにとうとう夕食が終わってしまった。
食事の片付けが終わり一段落してから椅子に座り再びスプーンを手に取り再度意識を集中してみた。

しばらくして目を開けスプーンを見つめて、変化が無かったのを知りまた溜め息をついた。

そんな時に愛子が通り掛かって声を掛けてきた。「お母さんどうしたの?スプーンなんか持って超能力の練習?」
半分冗談のつもりで愛子が言った。

「愛子、実は大事な話があるの」
光子は話を切り出した。
「何?」
怪訝そうな顔をして愛子が尋ねた。

「光ちゃんの事なんだけど…」

「あ、もしかして継承者の話?」

「愛子、何で知ってるの?」
光子は驚いた。

「何言ってるの、今の時代メールだよ?光とはメールをやってるからみんな知ってるよ」

「じゃあ愛子が候補になるかもって事も?」

「うん。力の事もみんな知ってるよ。そりに今回の事はしょうがないじゃん。二人しかいないんだし、私の方が3日お姉さんだし…」
割り切った様に愛子が答えた。

光子は誕生日の事についてすっかり忘れていた。愛子と光は同い年だったが、愛子の方が3日早く生まれたのだった。継子の方が姉だったので継承者として継ぐ事が事前に決まっていたので、すっかり継子の子の光が継承者になる者と決まっていると思い込んでいたが、実は愛子の方が先に生まれた、だから継承者としての可能性は始めからあった。

「私は平気だよ。」
愛子はあっけらかんとして答えながら今まで光子が手にしていて今は机の上に放置されたスプーンを手に取り、数秒目を閉じて「はい、あげる」といいスプーンを光子に渡した。

見るとスプーンはなんと柄の部分に2回転捻りがあった。その変化に一番驚いたのは光子だった。
光子自身、確かに愛子の年頃の時はすでに力を持っていたが、今の愛子と比べると出来る事に雲泥の差があった。

「愛子、実は今度おばあちゃんが家にくるの。」光子は言い忘れていた事を思いだし言った。

「え!おばあちゃん?もう10年位会って無いなぁ…。うれしいなぁ」
愛子は微笑んで言った。

「実はね。継承者の件でくるの」

「あ、そうなんだ…」
すっかり遊びに来るかと思っていた愛子は意気消沈して返事をした。

「それでね。継承者として愛子と光のどちらかを最終的に決める事になるんだけど…」

「その話は光から聞いてるよ。光の所から引き継いだ荷物をこっちに送るって言っていたから…それより、お母さん大丈夫なの?スプーン位曲げられないんじゃ力どころじゃないじゃん」

「そうね。正式な継承者としての力は無いにしても、2段階位の力は有ったんだけど20年も使っていないから、鈍っているみたいね。荷物がついたら、頑張って回復させないとね。」

「そうだね。」
そう言うと愛子は部屋に戻って行った。

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選ばれし者達(2)

光子は、スプーンを手に取り何度も試したが、一向に変化する気配が無かった。
時計を見上げ、仕方なく夕食の準備を始める事にした。

「たたいまぁ〜」
今時のミニスカートの様な制服を着た、ピンクのマフラーを巻き、黄色の手袋をした愛子が学校から帰ってきた。
「母さん。晩ご飯なに?」
そう話し掛けると同時に冷蔵庫を素早く開け、何か物色するかの様に眺めた。

「今日は、トンカツにするつもりよ。」
テーブルの上にはボールいっぱいのキャベツの千切りが出来ていた。

「何このキャベツの山?幾らキャベツが特売で安かったからって、今日でキャベツ連続3日目よ。おとといがロールキャベツ。昨日が回鍋肉。それで今日がトンカツの付け合わせに大量の千切りキャベツ?ねぇどうにかならないの?」

「うるさいわね。文句があるなら、お好み焼きでもいいわよ。」

「もう…どっちにしてもキャベツじゃない。」

そう言うと愛子は部屋に行ったしまった。

光子は、冷蔵庫の残り野菜を処理するかの様にさらに大量のキャベツと余った人参、玉葱など、適当に入れてさらに野菜炒めを作りあげた。

「お父さん、今日も遅いの?」
部屋着に着替えを済ませた愛子が話し掛けた。

「最近、遅いみたいね。いいから先に食べちゃいましょ!。いただきま〜す。ねぇ、ちゃんとキャベツ食べてよ。最近野菜足りていないし…」
光子が言った。

「何言ってるのよ。ここ最近、毎日キャベツじゃない。私はインコじゃないんだから、もぉ…」
愛子は大量のキャベツの千切りの山にマヨネーズを掛けながら言った。

「キャベツまだまだ沢山あるわよ。」
光子が言った。

「もう…」
「父さんにお好み焼きでも作ったら?」
愛子はキャベツの山に呆れていた。

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目次

目次です。

1章 継承者

(1)(2)(3)(4)(5)(6)(7)(8)(9)(10)

(11)(12)(13)(14)(15)(16)(17)(18)(19)(20)

(21)

2章 民へ

(22)(23)(24)(25)(26)(27)(28)(29)(30)(31)

(32)(33)

なお、この目次は最新の投稿に反映していない場合が多々あります(笑)

遅れて更新されることが多いのでその点ご了承ください。

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選ばれし者達(1) 1章 継承者

1章 継承者

「プルルルル プルルルル」
夕食の献立を考えながら冷蔵庫の中を覗いていた時に突然に電話がなった。
「もしもし、光子。元気してる?」

「あぁ、お母さんどうしたの?こっちは相変わらずよ。」

「突然に電話してごめんね。実は、継子(けいこ)の所の光(ひかる)ちゃんの所に、民(たみ)の人が突然に来て…」

「ち、ちょっと待って!民ってまだその時にはかなり早いでしょ!どうして?」

「それもそうなんだけど、実は光ちゃんなんだけど、実は継承者としての力がまだ不足しているみたいで、継承者の候補として、光子の所の愛ちゃんが…」

「そんな…だって、継子姉さんが、継承者の血を受け継ぐ者として、今までそのつもりで、全て伝えてあるんでしょ?急に私の所に来ても愛子は全然訓練していないし、困るわよ。」
「私どうしたら、いいの?」

「事情はわかるわ。でも時が来てしまったみたいなの。知っての通り愛子ちゃんは昔から光ちゃんより、優秀だったのは知っているでしょ?
光が無理なら、愛子しかいないんだから分かってよ。」

「でも私…」

「取りあえず、継子にあづけた基礎の覚醒レベルの継承指南書と訓練道具を急いで送る様に頼んだわ。だからあなたの所で愛子ちゃんを継承者としての候補になる様に訓練させて」

「でも…」

「大丈夫よ。最終的な覚醒試験は民の人がやる事だし、どちらも駄目だったら、私が光か愛子かどちらかを選ぶ事になってるし、いざとなれば私がその先を伝える様にするわ」

「わかったわ」

「それより、愛子ちゃんに力の事は話していないんでしょ?大丈夫?」

「そうねぇ…。あの子おばあちゃん子だったから、母さんが話はした方がいいかもしれないけど、急ぐ事だからまずは簡単に私から話すわ。」

「そうね。それじゃ近々そっちに行く事にするわね。それまでにまずは届く指南書を読んで、あなたも力を使える様にして置きなさいね。あなた、高校の時以来、力は使っていないんだから、今直ぐに使えるかわからないでしょ?」

「そうね。まさかこんな事になるなんて予想もして無かったから…」
「20年ぶりに久々に頑張ってみるわ」

「それじゃまた。」

電話を切ってから、小さな溜め息をついた光子は、手元にあったスプーンを取り、深く深呼吸をしてから、目を閉じスプーンに意識を集中した。
そして、全く変化をしなかったスプーンを見つめ大きな溜め息をつき一人つぶやいた。
「はぁ…私本当に大丈夫かしら…」

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ネット小説を始めることにします

ネット小説を始めることにしました。

何分不慣れなので、うまく出来るか分かりませんが、頑張ってみたいと思っています。

なお、毎度のことですが、

「この作品はフィクションであり、実在する。団体、人物、その他の物とは一切関係が有りません。」

では、よろしくお願いします。

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