「ひ、姫?!」
香織は目を丸くしていた。
「うん。だって髪型をオカッパにしてごらんよ。どうみても日本人形みたいでしょ?」
愛子は理由を説明した。
「確かそう見えないとも言えないけど…ねぇダーリンはどう思う?」
香織は姫と呼ばれる事になったダーリンに聞いてみた。
「私は別に…だってダーリンの前の名前、香織知ってるでしょ?それに比べたらね。」
「確かにそうだけど…」
香織は返事に困っていた。
「ねぇ、香織、ダーリンの前は何だったの?」
愛子は気になり聞いてみた。
香織はダーリンに確認をとるように目を見てから答えた。
「きみとか、奴とか、お前とか…」
「何それ?」
愛子は驚いて聞き直した。
「だからね。はっきり決まってなくて適当だったの。それでいろいろ大変で、なんとかたどりついた呼び方がダーリン。そういう事」
香織は事情を説明した。
「そうなんだ。じゃあ姫でいい?」
愛子は改めて聞いてみた。
「OKです。」
ダーリン改め姫は了承した。
「じゃあ、愛子、姫、私の家に行こう。」
香織は促した。
「ちょっと、これじゃ愛子姫になってるんだけど…」
愛子は香織に指摘した。
「ははは、確かにそう聞こえるね。じゃあ、別名、お姫様。」
香織は勝手に呼び方を考えてしまった。
「お姫様じゃちょっと呼ぶには恥ずかしいでしょう…」
愛子か指摘した。
「うーん。困ったなぁ。じゃあお嬢様。」
香織が悩んだ末に言った。
「まぁいいかな?」
愛子が言った。
「じゃあ、愛子、ダーリン改め姫、時々気分によりお嬢様。行こう。」
香織が促した。
「ちょっと、天気予報じゃないんだからさぁ…」
愛子は笑いながら答えた。
「とりあえず、なんでもいいから行きましょう。時間が勿体ないですから…」
ダーリン改め姫はこう言うと漫画喫茶を出で3人で香織の家に向かった。
途中、愛子は田中先生の痴漢の話しを思い出し、姫に聞いた。
「ねぇ、姫?この間の田中先生の痴漢の時の被害にあった子って、姫の下で田中先生を監視する為に近くにいたって聞いたんだけど、本当?」
「ええ。まさか、直接被害に遭うなんて、思いもよらなかったけど…。」
姫は特に隠す事もなく答えた。
「ねぇ、痴漢に遭う位、可愛い人なの?」
愛子はずばり核心を聞いてみた。
「ううん、全然。だって監視をするために近くにいる役目にした《草》だよ。始めから目立たない子だから、今回使う事にしたんだけど…」
「そうなんだ…」
「だっ胸ないし…背も小さいし…まるで小学生。」
姫は愛子の胸を見て話した。
「え?私より無いの?」
愛子は改めて自分の胸を見て言った。
「うん。本人はすごく気にしているんだけどね。髪型をショートにして、パンツを履かせたら男の子に見えると思うよ。」
「そうなんだ…」
「うん。一様痴漢に遭った時はスカートを履いていたけど、ミニだった訳じゃないし…私からしたら本当に謎。」
「それってもしかして、ロリコン?」
「わかんない。でもそうなら有り得るかもね。でも今となってはわからない話しだけどね。」
姫はつぶやいた。
会話に一段落が付くと、愛子は思い出した様に突然香織に声をかけた。
「ねぇねぇ香織。この紙、覚えてるでしょ?」
愛子は朝、愛子の机に叩き付けていった『馬鹿』と書いてある紙を取り出した。
「これがどうかしたの?」
香織は愛子が何を言おうとしているのか全く分からなかった。
「何?これがどうかしたの?」
姫はそういうと愛子から紙を奪い取った。
「ん?何?」
こう言ったと思った途端に姫は大爆笑をし始めた。
「ちょっと、か、香織…お腹苦しい…パ、バンツまる見えだし、カエルみたいに…あぁもうダメ…」
道の真ん中で大爆笑し始めた姿に通行人が数人振り返ったが、姫は笑いが止まらない様子で笑い続けていた。
「ちょっと何よ。」
半分ムッとしながら香織がさらに奪い取ると、香織はやっと理解したようだった。
「派手にまぁ香織はドジなんだから…」
姫は香織に半分笑いながら言った。
「そんな事言っても、あの時は急いでいたし…でも、まさかバンツがまる見えなんて…」
香織はまさか、転んだ時にスカートがめくれ上がりパンツが見えた事実を知り赤面していた。
「大丈夫、後ろに誰もいなかったんだし、そんな変なパンツじゃないじゃない?香織らしい可愛い、花柄だし…」
「そんな事言っても…」
ここまでの会話を聞いていた愛子が話しかけた。
「ねぇ見えてるの?」
「あぁごめん、愛子はまだ見えないんだよね。大丈夫、見える様になるから…」
香織は愛子に説明したが、愛子は状況が見えない事に少し寂しさを感じていた。
「いいなぁ」
愛子は一人つぶやいていた。
「それにしても、まさかこんなのが残ったとは思って無かったなぁ…」
「でも香織、こういう事ってよくある事だよ?転んだ瞬間とか無防備になるから。」
姫は必死に香織を慰めていたが、香織には姫にドジな姿を見られた事と、バンツの事まで言われ落ち込んでしまった。