翌日、愛子は朝一番で退院をして自宅で静養をしていた。
午後になり香織がお見舞いにやってきた。
「愛子元気そうね。」
「うん。元気だよ。それより香織がうちに来た事がバレたら香織もいじめられちゃうよ。大丈夫?」
愛子は香織までいじめに遭う事が心配だった。
「大丈夫だよ。私レベルアップしたから、いじめられない様に相手の気分を変えられる事が出来る様になったんだ。愛子にも、もうちょっとしたら教えてあげるからね。そうしたらもういじめられない様になるよ。」
愛子は香織は話した事が信じられなかったが、真剣な顔から、もしかしたら本当かもしれないと思った。
「それより、香織、怪我が早く治る方法があるって言っていたけど本当なの?」
愛子は昨日の話を思い出し聞いてみた。
「あ、あれね。本当だよ。これからやってあげるよ。」
「え!今出来るの?」
「うん。でもちょっとね。」
香織はこういうと愛子が座っているベットの横に座った。
「ちょっと…何?」
愛子が怪訝な顔をして聞いた。
「かなり痛いから、ちょっと夢を見ててね。」
香織はこう言いかけたかと思うと、愛子の頭をだきしめた。
「ちょっと香織、ゆ…」愛子がいい掛けた瞬間に愛子は力が抜けた様に香織にもたれ込んだ。
「ごめんね。愛子。」
香織は優しく声を掛けると、微笑んで気を失っている愛子の骨折をした右腕を優しく両手で包み込み、手に意識を集中し始めた。
大体20分位した頃にまた、愛子の頭をだきしめ、手に意識を集中した。
その瞬間
「夢って言ったってそんな!」
愛子が突然に香織から逃れる様に押しのけながら言った。
「愛子終わったよ。」
香織は満面の笑顔で愛子に言った。
「終わったって何もしてないじゃん。」
愛子は香織に強く言った。
「愛子。時計を見てご覧?」
「え?時計?」
愛子は時計を見て驚いた。
「え?時間が…私、だって…」
愛子は完全に混乱していた。
愛子の感覚の中では、香織にだきしめられ、「ちょっと夢を見ていてね」と言われ「夢って言ったってそんな」と言って押し退けた。それだけだった。
しかし、時間は20分以上経過していた。
「私、タイムスリップした?」
愛子は真面目な顔をして香織に尋ねた。
「そんな事あるわけないって…愛子は全く気付いていないと思うけど、私がだきしめた瞬間に愛子は気を失って、その間に私が腕が早く治る様に力を使って治癒力を高める様にして、また愛子の意識を回復させたんだよ。」
香織はこの20分近くの出来事を話した。
「そんな事出来るの?だって私気を失ってなんかいないよ?」
愛子は真剣に訴えた。
香織はただ黙って微笑んでいるだけだった。
「じゃあ見ててね。」
香織は鞄から髪止めのゴムを取り出した。
「今、愛子の手には、何も付けて無いよね?」
「う、うん。」
愛子は何が始まるのか分からなかった。
「じゃあ良く見ててね。」
香織がこう言うと軽く愛子の頭に触れた。その瞬間に愛子はベットに倒れ込んだ。
香織は、髪止めのゴムを愛子の指にクロスになる様に人差し指から小指までかけていき、出来上がった時に愛子の体を起こして、頭に手を載せて力を集中した。その瞬間
「わっ!指!!」
愛子が飛び上がって驚いた。
「これで分かった?」
香織は愛子に話し掛けた。
愛子は目の前で起きた事が信じられなかったが、信じるしか無かった。
「ねぇ香織、これって私も出来るようになるの?」
愛子は香織に尋ねた。
「うん。出来るようになるとかの問題じゃ無くて出来ないと《愛の民》になれない…私がしっかり教えるから安心してね。お祖母さんと約束したしね。」
香織はニコニコしながら答えた。